「第21回早春淡墨桜浪漫ウオーク」に死す [ウォーキングっていいな]
「スミマセン、こちら受付ですけど、
ちょっと参加者の方がなにか怒ってらっしゃって、
よくわからないんですけど、すぐ来てもらえますか?」
マスターY
「なんですか!わからないコトないでしょう!
これはおかしいでしょって言うてるんですよ!」
「60キロは【特別ゼッケン】じゃないのですか?
去年やってた刺繍のあるヤツですよ!
何キロやるか自分で記入するなんて間違ってます!
だって5キロしか歩かなくても60キロって書いちゃえば
それだけで尊敬のマナザシで注目を一気に集めるのですよ!
誰かが60ってウソを書いてさ、何か言われても
『ありゃ、ここにはトシを書くのじゃないかの?
ワシは今年で60なんじゃがの~』とかいうに決まってる!
そうですよね、みなさん!
賛同される方はいますか?」
ざざっ!
まんじょういっち!
「民衆を率いる自由の女神」
ⓒウジェーヌ・ドラクロワ
1830年
ぎょえー!みんな走り出したわ~!
なんだこの高揚感のあるスタートは!?
みんな歩こうよ~。
マスター
「なんかこのふがいないゼッケンのせいで
意欲が低下しましたわ。
今回は途中でやめちゃうかもしれません。
やろうと思えばやれますけどね。」
『ありゃ、ここにはトシを書くのじゃないかの?
ワシは今年で60なんじゃがの~』とかいうに決まってる!
そうですよね、みなさん!
賛同される方はいますか?」
ざざっ!
まんじょういっち!
「民衆を率いる自由の女神」
ⓒウジェーヌ・ドラクロワ
1830年
ぎょえー!みんな走り出したわ~!
なんだこの高揚感のあるスタートは!?
みんな歩こうよ~。
マスター
「なんかこのふがいないゼッケンのせいで
意欲が低下しましたわ。
今回は途中でやめちゃうかもしれません。
やろうと思えばやれますけどね。」
オレ
「そうなんだよ。オレもモチロンやれるけど今回は
途中でやめてもいいなって思ってたトコなんだよ。
まあ、とりあえずゼッケンには家に帰るまで
歩くことも考慮してさ、65キロって記入しといたよ。」
「そうなんだよ。オレもモチロンやれるけど今回は
途中でやめてもいいなって思ってたトコなんだよ。
まあ、とりあえずゼッケンには家に帰るまで
歩くことも考慮してさ、65キロって記入しといたよ。」
マスター
「あっ、それは正しい!まったくその通りです。
実はボクも神社までの徒歩を入れて
65キロにしたんですわ。」
「あっ、それは正しい!まったくその通りです。
実はボクも神社までの徒歩を入れて
65キロにしたんですわ。」
オレ
「うふ、うふふふふふふ」
マスター
「ぐふ、ぐふふふふふふ」
ほどなく食糧補給会場。
頂戴したのはコチラ。
おにぎりの代わりに
サンドイッチもありますよ。
「第21回早春淡墨桜浪漫ウオーク」
3/17(土)1日目
愛知県一宮市
真清田(ますみだ)神社から
岐阜県本巣市根尾板所淡墨公園までの
60キロを最長コースに30、13、5キロを設定する。
60キロコースは受付5:30~
出発式6:10
ゴールリミットは18:30の12時間ウォーキング。
事前申し込みは2,500円なり。
昨年初めてウォーキング大会なる催しに
参加したオレたちは決死の思いで38キロを
踏破したのだが、60キロをサッソウと歩く
多くの鉄人さんに打ちのめされ
ミジメな敗北感を抱えたまま
1年を過ごしたのであった。
その日から吉野家の牛丼も大盛を食べ続けたオレは
60キロを歩けるバイタルを手に入れたのだ。
だから実際やろうがやるまいが
もうそれは問題ではないのさ。
前を歩く11回連続出場の猛者(レジェンド)。
「うふ、うふふふふふふ」
マスター
「ぐふ、ぐふふふふふふ」
ほどなく食糧補給会場。
頂戴したのはコチラ。
おにぎりの代わりに
サンドイッチもありますよ。
「第21回早春淡墨桜浪漫ウオーク」
3/17(土)1日目
愛知県一宮市
真清田(ますみだ)神社から
岐阜県本巣市根尾板所淡墨公園までの
60キロを最長コースに30、13、5キロを設定する。
60キロコースは受付5:30~
出発式6:10
ゴールリミットは18:30の12時間ウォーキング。
事前申し込みは2,500円なり。
昨年初めてウォーキング大会なる催しに
参加したオレたちは決死の思いで38キロを
踏破したのだが、60キロをサッソウと歩く
多くの鉄人さんに打ちのめされ
ミジメな敗北感を抱えたまま
1年を過ごしたのであった。
その日から吉野家の牛丼も大盛を食べ続けたオレは
60キロを歩けるバイタルを手に入れたのだ。
だから実際やろうがやるまいが
もうそれは問題ではないのさ。
前を歩く11回連続出場の猛者(レジェンド)。
「ペースを変えなければね、
こののんびり調子で大丈夫ですよ。」
とりあえず30キロはグイグイ行こうぜ。
そしてオレは見た。
なんと革靴にコートの超ビジネスマン仕様。
間違いない。
このヒトは朝いつものように奥さんに
カイシャ行ってきますといいながら
この60キロウオークに参加しているのだ。
いったいどんな事情があるというのだ?
とりあえず30キロはグイグイ行こうぜ。
そしてオレは見た。
なんと革靴にコートの超ビジネスマン仕様。
間違いない。
このヒトは朝いつものように奥さんに
カイシャ行ってきますといいながら
この60キロウオークに参加しているのだ。
いったいどんな事情があるというのだ?
しかもはやい!
どんどん差が開いていく。
全身ホグロフスのオレがまったく歯が立たない。
横顔を見てみたいと思ったが
あっという間に遠くに行ってしまう。
あっという間に遠くに行ってしまう。
追いつくのはムリだと思ったせつな突然それは消えた。
バチンと消えた。
なんなのだいったい?・・・・
昨年の38キロスタート地点についたよ。
これで22キロはやりきったのだ。
しかしなぜ今回から38キロコースがなくなったのか?
オレ以外にも不遇の時を過ごしたものがいたのかもしれない。
昼の12時
ちょうど30キロ地点を通過した。
5時間30分経過
このままいけばゴールできるよね。
チェックポイントは昨年とは違うようだな。
あと23キロだってさ。
もうふくらはぎが張っているわ。
右足のウラがムズムズする。
不吉な兆候だ。
怪しいオジサン
「へへへっ、
ダンナ、ずいぶんお疲れのご様子ですな。
この後のシールもご用意できますぜ。
いただけるものさえいただけましたらねぇ。」
なんなのだいったい?・・・・
昨年の38キロスタート地点についたよ。
これで22キロはやりきったのだ。
しかしなぜ今回から38キロコースがなくなったのか?
オレ以外にも不遇の時を過ごしたものがいたのかもしれない。
昼の12時
ちょうど30キロ地点を通過した。
5時間30分経過
このままいけばゴールできるよね。
チェックポイントは昨年とは違うようだな。
あと23キロだってさ。
もうふくらはぎが張っているわ。
右足のウラがムズムズする。
不吉な兆候だ。
怪しいオジサン
「へへへっ、
ダンナ、ずいぶんお疲れのご様子ですな。
この後のシールもご用意できますぜ。
いただけるものさえいただけましたらねぇ。」
マスターと歩調があわなくなってきてさ。
お互いがあわせようとするから
余計に体力を使うんだよ。
余計に体力を使うんだよ。
えっ?
折り返し?どうゆーこと!?
理解不能!?
120キロ走る?えーっ!
なんなんだ!
60キロを歩くオレはなんなんだ!
オレのゴールはなんなんだ!
誰と競ってどうすればオワリにできるのだ!?
あ~イタタタ・・・
なんか時間に追い立てられてさ、
急いで歩いてさぁ、
なんなのコレはぁ!
救護車
「はいはいはい~
ワタシのためにぃ~
そんなにムリしないで~
お願いですから
のってもらえませんかぁ?」
ぐぐ・・・
その誘いにはのらん。
救護車
「ここまで歩いたらもうジュウブンですよ~
いまならちょうど二人乗れますよ~」
折り返し?どうゆーこと!?
理解不能!?
120キロ走る?えーっ!
なんなんだ!
60キロを歩くオレはなんなんだ!
オレのゴールはなんなんだ!
誰と競ってどうすればオワリにできるのだ!?
あ~イタタタ・・・
なんか時間に追い立てられてさ、
急いで歩いてさぁ、
なんなのコレはぁ!
救護車
「はいはいはい~
ワタシのためにぃ~
そんなにムリしないで~
お願いですから
のってもらえませんかぁ?」
ぐぐ・・・
その誘いにはのらん。
救護車
「ここまで歩いたらもうジュウブンですよ~
いまならちょうど二人乗れますよ~」
うううう・・・・
痛い。
右足の裏がヒリヒリ痛いんだよ。
見るのがコワいけど水ぶくれになってるよな。
痛いのを避けようとするからさ
歩き方がおかしくなっちゃうんだよ。
・・・もういいか、いいよな。
ここまでよくやったぜ。
歩き方がおかしくなっちゃうんだよ。
・・・もういいか、いいよな。
ここまでよくやったぜ。
いきなりの出来事に腰を抜かすオレ。
振り返ったビジネスマンのその顔は!
なんとオレの顔だった!
オ、オレだ!アンタはオレなのかーっ!?
そしてオレのアタマに直接「ビジョン」が!
それは洪水のように!
なんとオレの顔だった!
オ、オレだ!アンタはオレなのかーっ!?
そしてオレのアタマに直接「ビジョン」が!
それは洪水のように!
びょびょびょびょびょーっ!
何もかもがおかしくなってしまったオレの家庭。
ドラッグにおぼれた妻、
子供たちのオレを軽蔑するような目つき、
そして陰湿なイジメ。
「やーい!オマエの父ちゃん38キロ!さんじゅうはちきろぉー!!」
ドラッグにおぼれた妻、
子供たちのオレを軽蔑するような目つき、
そして陰湿なイジメ。
「やーい!オマエの父ちゃん38キロ!さんじゅうはちきろぉー!!」
や、やめろーっ!!
うおおおおおーっ!
カミナリにうたれたのかのように
全身にエネルギーがあふれる。
オレとマスターは覚醒の時を迎えたのだ。
なんじゃぁ~
もんじゃぁ~
ブーストごーっ!!
オレたちは駆け出した!
テッテケテー!
17時20分。
60キロなんてあっという間のデキゴトだ。
「はぁい、お疲れ様でぇす!完歩賞になります!」
うおおおおおーっ!
カミナリにうたれたのかのように
全身にエネルギーがあふれる。
オレとマスターは覚醒の時を迎えたのだ。
なんじゃぁ~
もんじゃぁ~
ブーストごーっ!!
オレたちは駆け出した!
テッテケテー!
17時20分。
60キロなんてあっという間のデキゴトだ。
「はぁい、お疲れ様でぇす!完歩賞になります!」
もうオレには景品なんてどうでもいい。
(実際ホントにどうでもいい賞品)
(実際ホントにどうでもいい賞品)
あいたたたた・・・・
右足ウラの指の付け根に大きく水ぶくれができてた。
かかとも擦り傷になってヒリヒリ痛みが走る。
薬指のツメも黒く変色していた。
どうして片方だけかはわからないが
とにかくオレの右足は死んだ。
そしてちょっと座っていただけなのに
下半身がガチガチに固まってしまった。
トイレに行くのも一苦労だ。
第3のメンター
「ウスズミはちょっとハードなウォークだよねぇ。
1時間で5キロ歩きを繰り返すってのは厳しいよ。
休憩入れて5キロだからね~
だからワシたちはがんばったのさ。
ジマンしていいのさ。」
下半身がガチガチに固まってしまった。
トイレに行くのも一苦労だ。
第3のメンター
「ウスズミはちょっとハードなウォークだよねぇ。
1時間で5キロ歩きを繰り返すってのは厳しいよ。
休憩入れて5キロだからね~
だからワシたちはがんばったのさ。
ジマンしていいのさ。」
オレはその夜
家族のもとに帰った。
おしまい。
家族のもとに帰った。
おしまい。