バイロンは渡さない。 [フィギュアっていいな]
バッキーボーイ
「かんぱ~い!」
T-BOY
「いーっすっ!」
ゴクゴクゴク・・・
バッキーボーイ
「おねーさん、無視して。
このヒトすごいメンドーなんだよ。
相手にしないでいいよ。」
「めちゃめちゃ凝視してるじゃないですか、
おねーさんが困惑してますよ。
やめてください。」
「とにかく今日は飲んでくださいよ~
ほれほれほれ~っ!」
T-BOY
「ボクも今日は悪酔いしそうだなぁ~」
(※サイダーを飲んでいる)
T-BOY
「そうだ。そうそう、あれってどうなったんですか?
なんか名前をわすれちゃったけど
人形買えってハナシあったじゃないですか?」
バッキー
「あー、そういえば思い出した!
なんかすっごい人気の人形が販売されるから
とにかく予約するぞって
6月くらいにオレたちおカネ払いましたよ!」
T-BOY
「えっ?まだ販売されてないんですか?
12月に出るって言わなかったでしたっけ?
えっ、今年の12月? ことし!?
今から1年もありますよ!
マジすか!」
バッキー
「そんなに待つんですか~
ホントに人気なんですね~」
バッキー
「あれっ?手が震えてますよ!
大丈夫ですか?
えっ?気分が悪い?
吐きそうですか?大丈夫ですか!」
T-BOY
「えっ?帰る!?帰っちゃうんですか?
はじまったばっかじゃないですか?」
1時間後、帰宅したオレは
部屋の奥から「箱」を取り出した。
あせるな。誰も見ていない。大丈夫だ。
うかつだった・・・
まさか今ごろになって思い出すとは。
あいつらをただのアホだと侮っていた。
異常なほどカネに執着がある事を忘れていたぜ。
ガサゴソガサゴソ
「MEDICOM TOY MANUAL VOLUME III」
2016年6月
フィギュアメーカー、メディコムトイの
設立20周年記念本が発行された。
そしてその特典には紙上限定商品の
購入ID番号が封入されていたのだ。
購入制限は1シリーズにつき3個まで。
そこでオレはありったけ購入した。
あいつらから集めたカネで・・・
6月に予約した商品は
すでにこの12月には宅配されていた。
もちろんあいつらには黙っていた。
そして1か月が過ぎたのだ。
紹介しよう。
バァーン!(※効果音)
(右から)
バイロン宇宙ラメバージョン。
税込み4320円
そして
ランジロン宇宙ラメバージョン!
税込み5400円
(高い!実に高い!)
山椒魚怪獣バイロン。
愛らしいその造形の
10cmに満たないビニールの固まりが
いまやオークションの世界で
高値でしか手に入らないお宝なのだ。
様々なカラーモデルが出品されているが
ちなみに希少なモデルは10万で取引されている。
(じゅうまんですよ。奥さん、じゅーまん)
このまま流通価値が高まってどこかの独立国家の
「貨幣」になってしまうのではないか?
(支払いは現金?それともカード?
あるいはバイロンですか?なんつって)
しかしのう・・・
なんかギラギラすぎないか?
コイツは頭にスカルをのせている。
どうゆー状況なのか?
今度はアタマに何かのせちゃうシリーズでいくのか!?
もしこのカラーリングの好みと
個人の性癖に関連性があるとしたら
オレはノーマルでいい、十分だ。
バッキーボーイ、
そしてT-BOY。
お別れの時がきたようだ。
オマエ達はオレがあの日から
どうして急によそよそしくなったのか
永遠にわからないであろう・・・