六甲山をゆく [関西のやま]
7月の終わり、早朝。
オレは兵庫県JR芦屋駅を降りた。
前を歩くのは勤め先の若者たち。
「いま、山はオンナの子であふれている」
そんな言葉にまんまとだまされた2匹の子羊。
しかし・・・
・・・・・・
気になる・・・
ちょっと聞きたいが
それって「サンダル」じゃないのか?
えっ?「サンダル」じゃなくて「クロックス」?
いや、そういうことを聞いているのでないぞ。
すみません・・・
何回もきいて悪いのですが、
それはもしかして「登山用のクロックス」なのですか?
世の中にはそんな商品があるのか!?
ソールはビブラムなのかぁ!?
"
フフフ、いいだろう。
「おやま」の恐ろしさを味あわせてやる。
一生消えない地獄の苦しみを知るがよい。
グヘヘ・・・・
阪急芦屋の駅からトボトボと
閑静な住宅街を抜け、
「高座の登山口」へ。
おやまクラブ関西隊として
オレは「六甲山」に行くことにした。
もちろん初めてのトライだが
会社の子が調べてくれた、
「芦屋ロックガーデンから六甲山最高峰、
そして有馬温泉でちゃぷちゃぷ」コース
を選択した。
ロックガーデン
さあ始めよう。
8:00出発。
"
おっといきなりの急斜面。
なるほどロックガーデンとはこのことか。
しかし暑い。
メチャクチャ暑いぞ。
サンダル小僧が
キャッキャッいって登っていく。
まだオレの半分しか人生を知らぬ若者よ、
オレはお前のために全身「ホグロフス」でまとめて
きたというのに、気にはならんのか?
「カッコいい服ですねぇ!なんてメーカーなんですかぁ?」
その一言がなぜ言えぬ!
(ああ、どうしよう
「ねえねえ、この服どう?似合ってるかなあ」って
自分から言うべきか、ドキドキ)
8:40風吹岩到着
なるほどこりゃキレイだ。
何人もの登山者が小僧のサンダルを見て
ギョッとして通り過ぎていく。
「うわぁ 兄さん、スゴイなぁ~」
声を掛ける人も多かった。
はあっはあっ
意外とすぐには着かないものだな。
こいつらずーっと喋りっぱなし。
えらくないのか!?
オレはいつも正直でいたい。
このブログを見ていただいている同志にも
包み隠さず話そう。
オレは今・・・
完全に足手まといになっている。
クロックス野郎のスピードについていけない。
あのサンダルにオレのメレルも悲鳴を上げているのだ。
「おーい、もっと景色みながら歩けよ~、」
(※ゆっくり歩いてください)
あーっもうダメ!
休憩、休憩。
ぜえぜえいいながら座り込むオレを
上から見下ろす若造。
「・・・・・・・・」
や、やめろ!そんな目で見るなあ。
なんだアイツは!
クスリでもやってるのか
キャッキャッいいながらズンズンいってしまう。
一軒茶屋到着。
ぜえっぜえっ・・・・
お、おえっ。
オレの視界に入るのは
カキ氷を食べながらタバコを吸うゴムゾウリ野郎。
大体なんだ、そのシャツの模様は!
どんなセンスなんだオマエは。
ヤツが何かしきりにしゃべっているようだが、
バッテリーがゼロになったオレには何も聞こえない・・・
はあっはあっ
な、なにもないトコだな。
小屋からものの5分で頂上到着(931M)
11:40
やっと六甲山山頂に到着
ここまで15,000歩 9km
結構な距離だぜ。
後ろだよ、う・し・ろ!
いいんだ
いろいろと事情があるんだ。
だまって立ってろー
しかし
改めて見る・・・
ちょっとそこのコンビニまでって感じの
この小僧のなめた格好。
だが
オレは負けた・・・
ホグロフスで全身を揃えても勝てなかった・・・
3年かけたオレの登山スキルが
山登り初体験のサンダル青年に負けたのだ。
このまま有馬温泉へ。
(会社での光景が頭によみがえる。)
小僧
「無理ですよ~、先輩みたいに登れないですよ~」
オレ
「大丈夫さ、ゆっくりオマエのペースで登ってやるからさ~」
有馬温泉に到着。
22,000歩 14Km
面白くない・・・
この登山はなんて面白くないんだ。
「金の湯」
650円でお湯をいただく。
にごりのあるよい湯だった。
はじめて来た有馬温泉・・・
こんな気分で訪れたくなかったぜ。
観光もそこそこにバスで芦屋まで帰る。
阪急バスで760円 45分の旅
クロックスを履いた若者は
涼しい顔で芦屋駅に消えていった。
待っていろ、小僧。
明日からオレの陰湿なイジメが始まる。
と思ったら小僧は会社のいろんな人に
「あのヒトは全然大したことない」と
言いふらしていると聞いた。
うううう・・・・どこだっ!?
登山用クロックスは
どこで売っているのだーっ!
(2012年7月)
コメント 0