八嶽山をゆく [愛知のやま]
待望のゴールデンウィーク
ここは愛知県知立(ちりゅう)市
名鉄電車知立駅。
通学の子であふれている。
今日は平日なんだ。
なんかトクした気分だな?
なぁ、バッキーボーイ
バッキーボーイ
「・・・・・・・・・・」
40分ほどかけて
名鉄豊川稲荷駅へ着いたオレたちは
そこからJRに乗り換えて
飯田線豊川駅を出発する。
秘境駅いっぱいで有名なJR飯田線だぜ~
コウフンしちゃうな。
バッキーボーイ
「くるってる、アタマおかしいですよ!
あ~っ、なんでついてきちゃったんだろ!」
豊川駅8時24分出発
32駅目(!)の大嵐駅まで
170分、なんと2時間50分の
超スローな電車の旅だぜ!
オレ
「ナニするナニする?
駅名記憶ゲームでもする?する?
オレからね?えーっと三河一宮駅!
はい、バッキー!」
バッキーボーイ
「オレのことはほっといてください!」
バッキーボーイ
「カミさんにラインしてるんですよ、
何度いっても信じてくれないんですよ
家から4時間も電車のって登山にいくなんて、
そんなバカはいない!
ホントのこと言いなさいなんて、
昨日ずーっといわれてたんですよ!
疑われてるんですよ!スゴイ仲いい夫婦なのに!」
オレ
「気にするなよ、
オトコにはオトコのロマンがあるのさ」
頼み込めば結局ドコでも
つきあってくれるバッキーボーイ。
今回ばかりは最後まで渋っていたが
電車にのってしまえばこっちのものじゃ
グヘヘ・・・
オレ
「いいじゃないか、ほらオマエのために
オレのホグロフス『CORKER』のクロを
かしてやったんだぞ、
楽しめよ、どこへ行こうがオマエが
楽しむ心がないとなにも始まらないぞ」
ゆったりとした電車の旅
当然ながら乗客もまばらでのびのび。
車窓から見える新緑がまぶしいぜ。
ここ中部天竜駅ではいったん停車
発車時間はなんと25分後!
駅を出て付近を散策。
通りすがりのおばあちゃんが
こんにちわって見知らぬオレに声かけてくれた。
ああ、いい!電車の旅!
オレはコレを望んでいたのだ!
バッキーとバカ話をしながら
11時14分、ついに大嵐駅に到着!
(あれっ、おおあらしじゃないんだ!)
「うわぁーっ!なんだココ!すげーな!」
バッキーボーイ急激にテンションアップ!
ほ~っ
こりゃキレイだ!しかもなんかめちゃ静か!
ヒトの気配が全くないぜ!
奥三河。
愛知県の最北東部、
ここは旧富山村。
人口200人(現在は豊根村に併合)
日本一小さな村が抱えるおやま
オレ達はそこにチャレンジする。
八嶽山(やたけさん)
標高1.140メートル
愛知県下12番目の高さのおやま。
歩行時間は想定4時間の登山だ。
いきなり登山口が見つからず
30分ほど行き過ぎてしまった。
とってかえして見つけた看板
「八嶽山大谷登山道」
見えませんよ。
なんか登山案内も汚れちまって見えない。
大谷登山口から頂上をめざし
ぐるっと回って市原登山口に
戻ってくるルートを想定していたが
帰りの東又ルートが崩落していて通行不能だとさ。
(しかも2011年に滑落して亡くなったヒトがいる!)
こりゃ頂上までいって
そのまま同じルートで帰ってこような。
実際のところ、行きも崩落がスゴイかったよ。
急斜面だしな。登山道もあるのかないのか、
赤テープと数字プレートだけを
目印にとにかく登ろうぜ。
はあ、はあ、はあ
キツイ登りが続く。
そしてなんとか「9」のプレート。
久々の登山でバッキーもバテバテだ。
オレ
「よ、よくがんばったな、バッキー!
さすがにキツイな。
はぁ、はぁ・・・、ちょ、頂上だぞ!」
山に響きわたるバッキーの悲鳴。
そこには「10」のプレートが。
「う、うわーっ!じゅ、『10』ってなんですか!?
9の次は『頂上』でしょ!
わからん!ワケわからん!(泣き声まじり)」
恐ろしいことに11、12、13と地獄が続く・・・
結局「17」までいっただろうか、
最後のキツイ登り。
バッキー(ヘナヘナヘナ・・・)
「や、や、やった・・・オレはやった・・・」
登山開始から2時間
八嶽山山頂。
やったな、オレたち!やったな!
山頂の横の展望台に行こうぜ
おお、
絶景だ・・・
あんなとこから登ってきたんだな!
爽快感ハンパない!
疲れが吹き飛ぶぜ。
ホントに誰もいないな。
この景色を独り占めだ。
あ~!サイコー!
そう、ここまではサイコーだった。
オレたち以外に登山客がいないのには理由があった。
オレたちは下りで本当の「地獄」を見た。
上りではなんとか赤テープを頼りに登れたが
崩落ではっきりしない登山道なので
下りは全くルートがわからない!
気付けばナンバープレートも
赤テープも見当たらない。
オレたちは倒木の激しい山中に迷ってしまった。
もう道なき道をただ滑り落ちるのみ。
やまなんだから下っていけば
何とかなるだろうと楽観視していたが
途中に崩落した橋が何度も現れる。
剥き出しの鉄骨
とりあえず下るにはこの先を行くしかない。
迂回してさらに下る。
川のせせらぎを頼りに。(頼むぞ)
足場がグチャグチャでこりゃ危ないわ。
こ、コレもきつい
カンカク的には直進で下りていたが
実際は行きの道を大きく外れ
オレたちは通行不能の東又ルートに来てしまった。
滑落事故の警告がよぎる。
キケン信号が点灯!
このまま下っていってもいいのか
急に崖にならないか?
行き止まりになってまた戻ることになるのか?
戻る?どこに戻る?
(脇汗ダラダラ)
しばし写真を撮るのも忘れ
大自然と格闘する。
(途中でシカを見たんだよ)
2時間20分後
旧富山村の村落が見えた。
あー助かった。
今回はマジでビビってしまったな。
バッキーボーイ
5時53分の豊橋駅行きを待つ。
八嶽山
オレたちにはちょっとキケンすぎた。
バッキーに怪我させたりして
奥さんに怒られなくてすんでよかった。
(ホント崩落はひどかったな)
バッキーボーイ
もうやま行かないなんていわないでくれよ。
(皆さんもお気を付けください。)