あっちのほうへいく。 [大阪っていいな]
大阪市福島区。
淀川花火大会でおなじみ
ここは淀川河川公園。
淀川を横目に
カネはないが時間のあるオレは
梅田に向かってひとり散歩することが多い。
いつも思っていた。
逆方向に行ったらどうなのか、
その先は何があるのか、
大海原に突き当たるのか・・・
答えを見つける時が来たようだ。
ある休日の朝。
おにぎりをこしらえて
7:00に出発。
怪しい雰囲気が漂う・・・
どんよりとした不吉な空だ。
いきなりのピンチ
ワルどもがたむろしている。
ここで朝をむかえたのか
毛布にくるまって寝てるヤツもいる。
かたや草むらでなにかコソコソ
たかられるのか・・・
(無意識に小銭入れをギュッと握り締める)
だが極度の緊張から変顔になったオレに
向こうもビビッてしまったようだ。
助かった。
おっと通れない
回り込め。
かたわらで初老の男が
捨てられた自転車を工具で
バラバラに分解している。
トラブルはゴメンだぜ
何気なく通りすぎよう。
怖い・・・
「野犬に注意」の看板を見てから
後ろが気になってしようがない。
急に横からも何か飛び出してきそうな気配あり。
気がおかしくなったオレには
あのオジサンも
あやしく見えてしまう。
いったい何をしているのだ?
野球少年の集団
オマエたちも「果て」をめざすのか。
母猫が口にくわえて
子猫を運んでいった。
殺伐とした景色から一転
ヒトの賑わい。
散歩やジョギングの人々。
変わらぬ朝の光景だ。
オレはわき目もふらず一直線。
気がつけば綱渡りのように
このコンクリートの端の細いラインの上を
ずっと歩いていた。
誰もが同じ事を考える。
見えるだろうか
同じように向こうから
次々と細いラインの上を
やってくる猛者どもが。
このままではぶつかる、
その刹那、
目と目が合う。
(バチバチッ)
勝負は一瞬。
(悪いな兄さん
この道だけは譲れねえ)
だがこの後
じいさんとばあさんの二人に
道を譲ってしまった。
イカツイ顔だけでは年配者には勝てない。
何回か試行錯誤の末
アゴを突き出し、目は上を向く
いわゆる「だっふんだ」の顔を出し続けることで
相手はギョッとして道をあけることを発見し、
その後は負け知らずとなった。
ふう
ついに行き止まりだ。
ここまで7km 1万歩 1時間半かかった。
ぬ?大阪北港ヨットハーバー?
確か一度来たことあるぞ、
意外な終わり方だぜ。
まあよい。
「果て」は見えた。
目的は達成したのだ。
まだ9時前だがゴハンにしよう。
子持ち昆布にカットしたチーズを
加えた特製おにぎりだ。
テトラポットを前に。
モグモグ
モグモグ・・・
・・・・・・・・・
寂しい・・・
楽しくねえ・・・
なんにも楽しくねえ!!
うう・・・
もう少し道沿いに出て橋を渡ろう。
あとで調べたら此花(このはな)大橋と
いうのだそうだ。
1,7kmの立派な橋。
景色はもうひとつ。
橋を渡りきって10km超えたあたりから
カラダが変調を訴え始める。
しかしえらいとこまで来てしまった。
コレはヤバイ
帰り道
オレは生きながらに地獄を見た。
体力は限界を超え
どこ歩いてるのか
わからなくなって
汗ダラダラ。
勇気を出して近くのおばさんに
道をたずねたときは
ちょっと涙声になってしまった。
おばちゃんに「あんた逆の方向にむかってるよ」と
言われ思わずヒザからくずれおちてしまった。
11:30帰還 25,000歩 18km 4時間半の散歩。
もう二度と行かないと心に誓った。
(2012年6月)
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