比叡山延暦寺をゆく [関西のやま]
ゴーーッ
ぴゅーっ
さ、寒い。
2月も半ば
7時45分 梅田発
JR京都線新快速敦賀行。
降り立った駅の名は「比叡山坂本」
AM8:30
単身生活の孤独にさいなまれたオレは
スピリチュアルな啓示を求めてここまで来た・・・
世界文化遺産
比叡山延暦寺
標高848mの山頂には雄大な琵琶湖の
大パノラマビューが待っているのだ。
お供のワカモノ達・・・
全身ホグロフスのオレと
一線を画すカジュアルな出で立ち。
特にそこのおまえーっ!
リュックの位置がおかしいぞー!
そんなきつい背負い方するなー
ガンダムみたいになってるじゃないか!
そのクツーっ!!
え?ちゃんと新しく買った?
ととと、登山靴を買えっていっただろー!
なんでオレが通勤用のクツ買えなんていうんだよ!
はっ
イカン。
(オレはこやつらがいなければ
どこも行けないさびしん坊だった)
ゴメンゴメン楽しく行こうなぁ
とはいえ
なぜこんな雪山に来てしまったのか
(誘ったオレが言うのもおかしいが)
ザクザク
(今日はやめにしようなんていったら怒るよな・・、
間違いなく)
法然さんゆかりの場所?
うう知らん知らん
こらーっ!
ガンダムリューック!!
ふらふらと横道にそれるなー
雪の足跡だけ追いかけたら
全然違うトコいっちゃうだろがーっ!
AM10:30
東塔(とうどう)エリア到着
「うきゃーっ」
どごーーーーーーん
おお
お前もイロイロとたまっていたのだな
はきだせはきだせ
(50円は払いなさいよ)
ますますひどくなってきたぞ
風が吹くと
大木に積もった雪が
どわーっとあたり一面に舞い散るのよ。
「うぉーっ」「ぎゃわー」「しょえーっ」
厳かなおやまに奇声が響き渡る。
道もなくなってきた。
ガンダムリュックが皆のペースから遅れだした。
機械(モビルスーツ)だからなのか、
その表情にまったく血の気がない。
え?なんだって
頂上までいったら帰りはロープウェイで帰りたい?
ああ
それもしょうがない。
(コイツもうすぐ死ぬな・・・)
AM11:50
ここか
ここなのか
頂上
な、何も見えない・・・
しばらく茫然と立ち尽くす。
なんだろこの感じ
喪失感?・・・
あああ
もうすっと帰ろうぜ・・・
ギョエー 運休中!!
ガンダムリュックどころか
オレまで愕然としてしまった。
この雪道をもう一回行くのか・・・・
そんな苦難の道のりを行く我らに
御仏の微笑みがー
うほーこりゃキレイだ。
登山家は、自分自身の力を発揮して、それを自分に証明する。
彼は自分の力を感ずると同時に考慮する。
この高級な喜びが雪景色をいっそう美しいものにする。
だが、名高い山頂まで電車で運ばれた人は、
この登山家と同じ太陽を見ることはできない。
(フランスの哲学者アラン「幸福論」)
コレくらいの山の場合はロープウェイで来ても同じだと思う。
(大阪在住の単身赴任者)
東塔までたどり着いた。
ここからケーブルカーは運行していた。
ここまで来たらもうヤケだ
ケーブルカーなどいらぬ
(運賃840円が惜しくなった)
どこまでも歩いてやる。
14:00 比叡山坂本駅に帰還。
山頂の自販機で飲み物を買ったのだが、
その際にマンションの鍵のついた小銭入れを
置いたまま出発してしまった。
ガンダムリュックが後から気づいてくれて助かったぁ!
そのまま鍵なしで大阪に帰ってたら、ブルブルブル・・・
ありがとうガンダムリューック!!
オレにはオマエがホントのガンダムに見えてきたぜー
http://www.hieizan.or.jp/
(2013年2月)
須磨アルプス・縦走ハイキングをゆく [関西のやま]
10月某日。
朝早く身支度を整えたオレは
阪神本線に飛び乗った。
そして1時間後、山陽電鉄のとある駅。
そこは須磨浦公園駅。
ここは遊園地か
「須磨浦山上遊園」
楽しそうな乗り物があるぜ。
明石海峡を背に
六甲山の最西端の
小さな山々を縦走する
「須磨アルプス・縦走ハイキング」が
今回のメニューだ。
-
しかし・・
気持ちいいぜ
なんていい景色だ
オレのことなどお構いなしに
行ってしまう若者たち。
「カーレーター」
未来から来た乗り物
片道200円(往復300円)
の、乗りたい・・・
そして観光リフト
片道300円(同600円)
ああ
子供達だったら興奮するだろうな
この時点で彼らの動きはぎこちない。
(それは近くに山ガールがいるからである)
今回のコースを復習しよう。
阪神電車で梅田から山陽電鉄経由で
須磨浦公園駅へ約1時間690円。
9時出発で6つの小さなおやまを縦走する。
クライマックスは「馬の背」と呼ばれる岩地帯、
そして山陽電鉄板宿(いたよど)駅に帰るプラン、
7kmほどを4時間かけて楽しむのだ。
景色もよくて道も緩やかで
ついつい写真を撮りすぎてしまう。
その山はガールであふれていた。
しかし・・・
山ガール山ガールと騒ぐくせに
実際に目の前にいたりすると
やけに息苦しいものだ。
ふう・・・
オレは緊張しているのか!?
ノドがカラカラだ
脇を変な汗が流れてきたぜ
おい、みんな急に黙っちゃけど、
ど、どうした!?
みんな顔面蒼白だぞー!
(やばいこのままでは死んじゃう)
呼吸をしろ!
大きく息を吸え!!
ああもう出発だぁ
ココを離れようー
(やわい、やわ過ぎる!)
正気を失い右往左往する俺たち。
だが安心だ。
整備の行き届いたこのコースに
迷う者はいない。
ろっこうぜんざんじゅうそう?
ココから宝塚まで歩くのか?
13時間?すげーな
山ガールに挨拶ひとつもできず
自己嫌悪に陥る若者達。
(愛すべき男たちよ! 顔を上げよ。
女神がいつか微笑む時が来る!)
雄大な景色は子供も黙らせる。
こんな近くていいトコあるなんて知らなかった。
いったん住宅街を抜けて
栂尾(とがお)山へ
途中でピーコックストアというスーパーへ立ち寄る。
まさか食料調達ができるとは、便利なところだ。
この階段はつらかった。
400段ほど続く。
なんかゴツゴツしてきたぞ。
おお「馬の背」か!
こりゃワクワクするぜ
ちょっとした冒険気分だな~
疲れが吹き飛んだぜ
こりゃ爽快。
面白いトコがあるもんだ。
さあ降りようぜ。
旅の終わりは12時40分。
3時間40分、15,000歩9.5km
(2012年10月)
SEAL(シール) ワンショルダーバッグ [ファッション雑貨っていいな]
ある日の休日。
名古屋に帰ったオレは家族と
ミカン狩りに来ていた。
オレは代金を払わずに入口で待つ。
いいんだオレは。
お前たちだけいっといで
子供達のしらけた顔・・・
ワイフも寂しそうだ。
すまない。
だって高い、高いんだもん・・・
食べ放題+1kgのお土産付きで
大人¥1,155
大阪でのオレのつつましい生活を
知っているのか。
日々の涙ぐましい努力はオレを
ただのせこいオトコに変えただけなのか。
入口にいたオジサンとしばし談笑。
え?オレのこのバックがカッコいいって?
へー、うれしいな
あんた
わかるのか
え?いやジャスコで買ったんじゃないぜ
あそこにはないよ。
いや、ジャスコにバックの売り場はあるだろうよ
それをいってるのではないぜ
いやいやアンタのバックはジャスコで売ってただろうが
そういう問題ではないってば
(オレ達は分かり合えなかった・・・)
男一人の人生を左右させてしまうジャスコ。
さすがだぜ・・・
だがオレのバックはちと違う。
オジサンを震撼させたバック
その名は
「SEAL(シール) ボディバック」
大型自動車の廃タイヤチューブを
利用したリサイクルプロダクツ。
言ってしまえばゴムでできたバックだ。
見た目通りタフ。
ゴムゆえに水もはじく。
たすき掛けでちょっとした小物が入るニクイやつ。
ブリジストンの文字がキラリ。
お前はかつて何処を駆けていたのか
もう何年も愛用しているが
褒められたのは初めてだ。
恥ずかしい話だが
つい嬉しくなって
新しい仲間を手に入れてしまった。
SEALのロゴ
SEAL
waterproof model
ワンショルダーバッグ
8,820円
様々なデザインの素材を使うので
どんな生地パターンでやってくるのか
見るまではわからない。
一点一点がすべてオリジナル。
それがまたうれしいものだ。
ブルーのラインも決まってる
今回は間違いなく当たりだぜ。
ジッパーも止水タイプになって、
完全防水になったようだ。
背中の部分はゴムを使わなくなった。
汗をかくと蒸れるからだな。
片側にジョイント。
左肩にかけるカンジだ。
上部のゴムタグで止められる。
情熱だけではないキッチリしたモノづくり。
大きさを比較する。
ボディバックはその手軽さゆえ
あまり中身は入らない。
今回のブツを比べると大容量なのがわかる。
下側が大きく膨らんでるのでまだ余裕あり。
ジュニア、
ミカン食べたくないかい?
(またあのオジサンに会いに行こう。)
あれ?同じの売ってないな
種類は豊富で
見ているだけで楽しい。
SEAL公式オンラインショップ
http://www.rakuten.co.jp/seal-store/
http://www.seal-store.net/
(2012年12月)
京都競馬場に行く [京都っていいな]
京阪電鉄淀駅
10時すぎ。
200円払え?
入場券だと・・・
無料じゃないのか?
始めから借金を背負わせて
この門をくぐれというのか!?
殺るか殺られるか・・・
穏やかに見えていたまわりの客の
視線が突如オレに突き刺さる。
いいだろう・・・
やってやろうじゃないか。
その殺戮の舞台となるコロシアムは
「京都競馬場」
人づてに楽しいとは聞いていたが
今回オレは初めて競馬体験をすることになった。
あーコレ楽しそー!!
並ぼう並ぼう
だが同行の若者達に
羽交い絞めにされ列を離れる。
「いいですか!
当てに来てるんですよ!
とりにいくんですよ!
こんなのやっちゃダメでしょ」
いきなりものすごい剣幕で
叱られてしまった。
うおーこりゃ広いなあ
建物もでっけー
へへへ
なんかイロイロもらっちゃったな。
道中では競馬の楽しみを語っていたヤツらも
入場したとたん急に眼の色変えて新聞チェックしだしたぜ
(なんかブツブツ言っている)
おいっ
オレは何にもわからんぞ。
まあいい
もらったプログラムでもじっくり見るか。
へー、ユニフォームは勝負服っていうんだ
勝負下着とかの由来は競馬から来てるのか。
9時から会場が開き、
10時から夕方まで1日12レースがあることはわかった。
毎週開催しているわけではないのだな。
うーん・・・(いかん、眠くなってきた)
まあいい
馬でも見るのだ。
パッパカパッパカと思ったら
ドドドドドドって駆け抜けていった。
オレは古い人間なのか
競馬といえばガラの悪い男たちが
たむろしてるイメージがあったが
肩すかしだったことを伝えておこう。
人ごみで肩がぶつかればお互いが
謝る、むしろそんな気づかいの場であった。
おおー志村さんじゃないの
何これ?どういうことー?
特別ゲストに志村けんだと・・・!?
入場料200円は
「爆笑志村けんトークショー」の観覧代だったのかー!(ウソ)
あははは
みんな「しむらー後ろー!!」とか叫んでる
(若い奴らには意味がわからないそうだ)
なにやら馬の話をアツく語る志村さんであった。
馬券はどうやって買うのか疑問であったが
なるほどマークシートか
エンピツで塗りつぶすのだな。
京都競馬をゴシゴシ
何レースかをゴシゴシ
賭け方をゴシゴシ
掛け金100円にマークしてと・・・
場内に据え付けられた読み取り機で購入。
あっけないほどカンタンなものだ。
この馬・・・気になる・・・
その名を「モグモグパクパク」(!?)
馬よ、お前はそれでいいのか
賭け方にはイロイロあるのが面倒だな
とにかく3連複を買えばよいそうだ。
3連複・・・1位2位3位を当てる。順番は自由なので
そのレースで走るベスト3をあてればよいとのこと。
巨大なスクリーンで結果がわかる。
当たれば100円でこの金額になるということか。
なるほど100円でも大きな見返りを求めるには
3連がよいのだな。
当たればまたあの機械で払い戻しができるのだ。
しかし・・
こののんびりした感じはなんだ。
どこかの週末の公園みたいだ。
そこにはギャンブルの緊迫感はなかった。
なんかみんな楽しそうにワイワイやってるな
オレも芝生で大の字になるか。
あー(大きく伸び)
気持ちいいぜー
レースそっちのけで
ウロウロしていたオレは
大きな広場に出た。
「パドック」か。
出走前のお披露目。
馬の気合いがわかるそうだ。
馬を見つめるギャラリー。
熱く、そして静かに。
まわりのボソボソ話が自然と耳に入る。
初老の夫婦のおばさん
「お父さん、私ピンときたわ。あのコよ
あのコくるわ!」
隣の兄さん
「頼むぞ、今回こそ
逃げ切れよ・・・ 」
オレはこの時初めて「競馬」を知った。
この馬への愛情・・・
これが競馬か
これが醍醐味・・・
ものすごい群衆
窓にもびっしり。
みんなの熱い視線は
なんだか笑えてしまうな。
今日の目玉レース
「菊花賞」
一番人気のゴールドシップ
そんなに速そうに見えないぞ。
目をパチパチしょぼつかせて
うつむき加減でやさしそうなやつだ。
ゴール付近に移動して出走を待つ。
なんかお祭り騒ぎだ
盛大なファンファーレが鳴り響く
老いも若きもみんな手拍子!
うおーっ
オレも盛り上がってきたぜー
わかったぞー
これは運動会なんだな!
かわいい子ども達のかけっこ競争だぁ!
応援だ応援だー
みんながんばれー
父ちゃんも大阪で一人がんばってるぜー!!
戦いは終わった。
気が付けばオレの汚れた心を
大粒の涙が洗い流していた。
オレは泣いていた。
心優しきゴールドシップは
序盤は後ろの方を皆といっしょに
楽しそうに駆けていたが、
その後グイグイと順位を上げて
いつの間にか1等でゴールインしたのであった。
今回が3回目という若者のひとりが
12,000円の配当を手にした。
こういう買い方もあるのだな。
ちなみにオレは
初回に馬連(1,2位順位不動)で
670円当てた以外は
からきしダメであった。
といっても1,500円ほどしか使っていない。
言われたとおりに3連複を買い続けたが
3つのうち2つは当たるのだが
3着全部というのが絶妙に当たらないのであった。
こういった週末も悪くない。
京都競馬場
http://www.jra.go.jp/facilities/race/kyoto/
(2012年11月)